腰痛に良い体操、ストレッチ、リハビリ…
老若男女問わず、腰痛に悩まされている方は大変多く、腰痛はもはや国民病ともいえる様相を呈しています。
このページを見ている方の中にも“椎間板ヘルニア”や“脊柱管狭窄症”といった病気を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
腰痛に良い体操やリハビリが知りたい
腹筋や背筋、体幹をどうやって鍛えたらいいかわからない
このページはそんな方々のために作成したものです。
腰痛と背骨の健康は切っても切り離せないものです。
背骨の健康には、全身の十分な柔軟性と腹筋・背筋、いわゆる「体幹」の筋力が必要で、「腰痛や椎間板ヘルニアには腹筋や背筋を鍛えると良い」というのは多くの方が耳にしたことがあると思います。
腹筋と背筋は天然のコルセットとして腰(腰椎)への負担を軽減する役割を果たしていますから、たしかにその通りなのですが、その腹筋や背筋を鍛えようとして腰を痛めてしまう方がいるのも事実です。
腹筋をしていたら腰が痛くなってしまって...。
これでは本末転倒です。
このページで紹介する体操はMcGillのBIG3と呼ばれ、世界的な腰痛の権威であるStuart McGill博士が推奨している体幹トレーニングです。
腰への負担を抑えつつ、腹筋や背筋と言ったいわゆる「体幹」を効率よく鍛えることができます。
腰への負担が小さい方法を記載していますので、椎間板ヘルニアなどの方にも行っていただけますが、体操によって症状が強くなる場合などは行わないようにしてください。
準備運動
体幹のトレーニングを行う前に以下の体操で背骨の柔軟性を獲得しましょう。
キャットキャメル
せぼねの柔軟性を改善する体操です。
体操の見た目から、キャットキャメル(猫とラクダ)と呼ばれます。
方法
①猫のポーズ
まず四つ這いになります。手は肩幅程度か少し広め、足も手と同じくらいか、やりやすい幅で構いません。
顔を前に向け、肩甲骨を軽く寄せるように意識し、背中全体を反らすように力を入れます。
猫が伸びをするイメージですが、あまり強く反らす必要はありません。
3秒間その姿勢をキープします。
この時肘が曲がらないように注意しましょう。
②ラクダのポーズ
そのまま四つ這いでお腹を覗き込み、ラクダのコブのように背中を上に突き出し、できるだけ大きく丸めます。
こちらも3秒間その姿勢をキープします。
回数
“猫のポーズ”と“ラクダのポーズ”を交互に 3秒キープ×5回 行います。
※どちらのポーズも息を止めないように行いましょう。
Q.T.ローテーション
こちらもせぼねのストレッチを行い、柔軟性を改善する体操です。
Q.T.ローテーションという名前はQは“quadruped=よつばい”、“TはThoracic=胸椎”、ローテーションは“Rotation=回旋”という意味で少し難しいですが、簡単に言ってしまえば背骨をひねる運動です。
先ほどのキャットキャメルと同様、四つ這いで行う体操ですので、まとめてやってしまいましょう。
方法
①四つ這いになり、片方の手を頭の後ろに置きます。
②天井を見るように、胸を大きく開くように体をひねります。
③身体をひねったらそのまま3秒間キープしてゆっくりと①に戻ります。
回数
①~③を5回繰り返しましょう。
肩が痛かったり、やりにくい場合は手の甲を腰に当てて行うのも良いでしょう。
体幹トレーニング
以上の体操を行ったら準備は完了です。
いよいよ体幹を鍛えていきます。
日常生活において、腹筋・背筋といった体幹の筋肉は“強さ”よりもむしろ“持久力”が必要となることが多いといえます。(もちろん強いに越したことはありませんが)
持久力を鍛えるためには、多めの回数を行う必要があります。
無理せず頑張りましょう。
カールアップ(腹筋①)
一般的な腹筋運動、いわゆる“上体起こし”は、腹筋を鍛えるには効果的ですが、背骨(特に椎間板)への負担も大きいため腰痛を持つ方にはあまりオススメできません。
ここで紹介する体操は背骨に大きな負担をかけることなく、腹筋を鍛える事が可能です。
方法
①仰向けに寝て片方の足を伸ばし、腰の下に手を入れます。
こうすることで腰が丸まってしまうことを防ぐことが出来ます。
②あごを引いて、頭を持ち上げて10秒キープ。
回数
10秒(体力に自信のない方は5秒)キープを10回行います。余裕があれば15回程度まで増やしてみましょう。
10秒キープ→3秒休憩→10秒キープ→3秒休憩→・・・と繰り返していき、10秒キープするのが辛くなってきたら、20秒の休憩を入れて目標回数まで続けて行います。
ポイント
おへそを覗き込む(首を曲げる)ように頭を上げるのではなく、あごをひいてまっすぐ前を向いたまま持ち上げるのがポイントです。腹筋に力が入るのが感じられるところまで(肩が浮き始めるくらい)上げてください。片手でお腹を触ってみて硬くなっていればOKです。
膝を立てる足は一回ずつ交互に変えても、数セットごとに変えても構いません。
サイドプランク(腹筋②)
腹筋(横腹)を鍛える運動として非常にポピュラーなものです。
方法
①横向きに寝て肘と膝をつき、体がまっすぐになるように腰を浮かし、そのまま姿勢をキープします。上側の手は腰に置いておきましょう。
下の写真のように脚を伸ばして行うことで、さらに高い負荷をかけることが可能です。
回数
10秒(体力に自信のない方は5秒)キープを10回行います。余裕があれば15回程度まで増やしてみましょう。
10秒キープ→3秒休憩→10秒キープ→3秒休憩→・・・と繰り返していき、10秒キープするのが辛くなってきたら、20秒の休憩を入れて目標回数まで続けて行います。
ポイント
腰を高く上げすぎたり、下がってしまっていると効率よく体幹を鍛えることができません。
身体はまっすぐに保つようにしましょう。
3.バードドッグ(背筋)
背筋を総合的に鍛える体操です。
方法
①まずは四つ這いになります。
四つ這いのポイント
・手は肩の真下、膝はお尻の真下
・軽く顎を引く
・背中に力を入れて肩甲骨を軽く寄せる(あくまで軽く)
・お腹を軽く引っ込める(こちらもあくまで軽く)
・腰や背中は“反りもせず丸まりもせず”
②親指を上に向けて片側の手を斜め前へ上げ、反対側の脚をまっすぐに後ろへ上げます。
バランスを崩して倒れてしまわないように注意しましょう。
③手足を上げた姿勢をキープします。
高く手足を上げすぎるとうまくいきません。
手足は床と水平かそれより少し下がったところが目安です。
回数
10秒(体力に自信のない方は5秒)キープを10回行います。余裕があれば15回程度まで増やしてみましょう。
10秒キープ→3秒休憩→10秒キープ→3秒休憩→・・・と繰り返していき、10秒キープするのが辛くなってきたら、20秒の休憩を入れて目標回数まで行います。
ポイント
・体が傾いてしまわないよう気をつけましょう。
・難しい場合は足だけで行っても構いません(それも難しい場合は手だけ)。手足同時に行えるように段階的に練習しましょう。
ワンポイントアドバイス
・体幹トレーニングは、疲労や痛み等がなければ毎日行っても構いませんがくれぐれも無理をしないようにしましょう。強い疲労感や筋肉痛があるときはお休みしましょう。
・余裕があればキープする時間を15秒程度まで増やしたり、回数を増やしていくと良いでしょう。
・正しいフォームで行うことが最も重要です。
・準備運動の二つ、“キャットキャメル”と“Q.T.ローテーション”は毎日行うと良いでしょう。
・各体操はベッドの上などの極端に柔らかい場所は避け、滑りにくいところで行いましょう。
・お身体の調子に合わせて、大きく腕を振って歩く早歩きなどの全身運動も取り入れましょう。鍛えた体幹を全身運動で使うことが大切です。
注意事項
・腰痛や椎間板ヘルニア等の症状を劇的に改善させるようなものではなく、負担に強い背骨をつくるためのものです
・体力に合わせて時間や回数は調整しましょう。無理に行うのは逆効果です。
・筋肉痛がある場合は無理せずお休みしましょう。
・体操中、後に痛みや違和感を感じたら中止しましょう。
・現時点で椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、脊椎圧迫骨折など、なんらかの背骨疾患と診断されている方や手術をされたことのある方、骨が脆くなる骨粗しょう症の方などで運動を制限されている方は担当医師の指示に従って行ってください。
・心臓に疾患があったり、医師から運動を制限されている方も医師の指示に従って行ってください。
体操をする前に
・生活に支障がでるほどの強烈な痛みがある(鋭い痛み)
・下半身の強い痛みや痺れ
・皮フの感覚が鈍い“感覚麻痺”
・足の指や足首が動きにくい、力が入らない
・頻繁に膝折れがする
・尿が出にくい、漏らしてしまうなどの“膀胱直腸障害”
上記に当てはまる方は、背骨や神経に何らかの異常がある可能性があります。
まずは医療機関を受診することをおすすめします。
体操等は医師の指示に従って行うようにしてください。
まとめ
以上ご紹介した体操は、実際に病院で患者さんにもお教えしている体操で、高齢の方から、アスリートの方にまでお勧めできるものです。
十分な柔軟性と腹筋・背筋は腰痛予防・改善には欠かせません。
背骨の健康のために、ぜひトライしてみてください。
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